アイデザイナー

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アイリスト(アイデザイナー)とは?必要な資格や検定、仕事内容を徹底解説【専門家監修】

「アイリスト(アイデザイナー)」という職業に興味はありませんか?
名前を聞いたことはあるけれど、具体的にどのような仕事なのか、どのようなステップを踏めばなれるのか、わからないという方もいるでしょう。

本記事では、将来的にアイリスト(アイデザイナー)への転職を考えている方に向けて、具体的な仕事内容、1日の流れ、必要な資格などを解説します。主な就職先、働き方、年収、やりがいや大変なことについても解説しますので参考にしてください。

アイリスト(アイデザイナー)ってどんな仕事?

まつ毛の施術を行うアイリスト

アイリストとは、まつ毛エクステンションやまつ毛パーマなど、目元を華やかにする施術を行う専門職のことです。専用の薬剤や道具を使い、人工まつ毛を植毛したり、まつ毛を美しい形に整えたりする仕事を指します。まつ毛だけでなく、眉毛に関する施術(アイブロウ)を行う人もアイリストに含まれるのが一般的です。

アイリストは「アイデザイナー」や「アイスタイリスト」などとも呼ばれ、どちらも仕事内容は同じです。
※さまざまな呼び方がありますが、本記事では、聞き慣れている方が多いであろう「アイリスト」で統一して表記いたします。

アイリストの仕事内容

アイリストの仕事は、施術することによってお客様の目元を美しく華やかにすることです。具体的な施術や1日の流れなど、業務内容を解説します。

まつ毛や眉毛などの施術を行う

アイリストの2大業務であるまつ毛エクステンションとまつ毛パーマ、そして、アイブロウの具体的な施術内容を紹介します。

まつ毛エクステンション

まつ毛エクステンションは、専用の接着剤(グルー)で人工まつ毛を植毛し、まつ毛をボリュームアップさせる施術で、「マツエク」や「まつ毛エクステ」と略されることも多いです。

完成した人工まつ毛を皮膚に直接貼り付ける「つけまつげ」とは異なり、まつ毛エクステンションは地まつ毛1本に人工まつ毛1本(または数本の束)を装着するのが特徴です。皮膚に直接付けるのではなく、地まつ毛の根元1~1.5mmほどの位置にツイーザー(ピンセット)で1本ずつ装着していきます。
緻密な作業を行う技術はもちろん、高い集中力が求められます。まつ毛エクステンションと一口にいっても、太さ、長さ、本数、カラーなどさまざまな組み合わせができるため、お客様の要望を正確に聞き出し、応じる必要があります。

まつ毛パーマ

まつ毛パーマは、専用の薬剤を使って、地まつ毛をカールさせる施術です。地まつ毛を活かすため、ナチュラルな仕上がりになるのが魅力です。施術方法の代表的なものとして、ロッド式ビューラー式という2つの方法があります。

ロッド式は、シリコン製の専用のロッドにまつ毛を1本ずつ巻き付けて固定し、パーマ液でカールを付けていく方法です。ロッドのデザインは豊富で、均一にカールを作れるのがメリットです。施術時間の目安は1~2時間です。
ビューラー式は、ビューラーでまつ毛を挟み、パーマ液を付けてカールを付ける方法です。ロッド式のように均一なカールは作れませんが、ロッド式より安価で施術時間の目安も約30分と短いです。

まつ毛パーマはパーマ液を目元に塗布するため、目や皮膚にトラブルが起こらないよう、薬剤の正しい知識や取り扱い方を学び、細心の注意を払って施術する必要があります

アイブロウ

まつ毛エクステンションやまつ毛パーマだけでなく、美しい目元を作るには眉毛も重要な役割を果たします。

アイブロウの施術では、お客様の理想とする眉毛を聞き、デザインの型を取り、ムダ毛や長さを調節して整えます。ムダ毛は専用のワックスやツイーザー(ピンセット)を使って処理し、長さはアイブロウシザーで整え、アイブロウペンシルやアイブロウマスカラを使って仕上げます。眉毛が薄い方には、眉毛エクステンションを施して仕上げることもあります。

眉毛は顔の印象の8割を決めるともいわれるほど重要なパーツです。まつ毛エクステンションをして目力が出たら、眉毛も太さと長さを出すというふうに、まつ毛を施術したら眉毛にも変化を持たせてバランスを取ることが大切です。

サロンに勤めた場合の1日の流れ

サロンで働くアイリストはどのような1日を過ごしているのか、10~19時営業のサロンを例に、1日の流れを紹介します。

出勤
9:30

営業時間の30分前には出勤してオープンに備えます。店内の掃除、予約の確認、必要な道具や薬剤の準備などを行い、店舗によってはスタッフ全員でミーティングを行うところもあります。ミーティングでは、予約内容を共有したり注意事項を確認したりします。

開店
10:00

お客様の受付、カウンセリングを済ませ、施術へと進みます。リピートのお客様は来店前にカルテをチェックし、スムーズに施術を始められるようにします。施術後はお見送りし、必要事項をカルテに記入します。お客様1人あたりにかかる施術時間はメニューによって異なりますが、目安は1~2時間です。

休憩
13:00

昼休憩は交替で1時間ほど、勤務時間に合わせて取得します。

午後の仕事
14:00

午後の早い時間帯は比較的お客様が少ないため、ダイレクトメールの発送、在庫管理、発注、SNSによる情報発信など施術以外の業務をこなします。夕方からは学生や会社勤めのお客様が増え忙しくなる傾向があります。

閉店
19:00

レジを締めて売り上げを報告し、使用器具や店内の掃除、ベッドのシーツ交換などを行い、翌日の準備や予約の確認をして退勤となります。閉店後に技術チェックをしたり、新しい技術を導入する際は研修を行ったりすることもあります。

営業時間や雇用形態によって勤務時間が早番と遅番に分かれる店舗もありますが、大まかな流れは同じです。

アイリストになるために必要な資格とは?

アイリストの手元の様子

2008年より前は、資格を持たなくてもまつ毛エクステンションやまつ毛パーマの施術を行えました。

しかし、不適切な施術によって目の周りにかゆみ、腫れ、出血が起こるなど被害を訴える人が続出したため、現在では有資格者のみしか施術を行えません。アイリストになるために必要な資格とその理由を解説します。

アイリストになるためには美容師免許が必要

アイリストは、国家資格である美容師免許を取得しなければなれません。美容師免許を取得するには、厚生労働大臣によって指定された美容師養成施設(美容専門学校など)を卒業し、国家試験に合格する必要があります。

養成施設には昼間課程、夜間課程、通信課程があり、働きながら学ぶことも可能です。養成学校を卒業することが国家試験の受験資格となり、昼間か夜間の過程であれば2年、通信課程であれば3年で受験資格を得られます。国家試験は学科と実技の両方に合格しなければなりません。合格後は免許を申請して、美容師免許を取得できます。

なぜ美容師免許が必要なの?

まつ毛エクステンションが日本で流行し始めた2000年頃は、法的な規制がありませんでした。

まつ毛エクステンションもまつ毛パーマも無資格で施術できたため、サービスを提供するサロンは急増しましたが、まつ毛エクステンションのグルーが原因とされる目の充血、まぶたの腫れなどのトラブルが相次ぎ、全国の国民生活センターには多くの相談が寄せられました。厚生労働省は2008年3月、危害を防止すべく、まつ毛エクステンションやまつ毛パーマの施術を行う人に美容師免許の取得を義務づけました

目元の施術なのになぜ美容師免許が必要なのかと疑問を感じる方もいるかもしれません。美容師免許は本来、髪の毛だけではなく、首から上の容姿を美しくする際に必要な資格とされています。勉強内容には衛生管理などアイリストにとっても必要な知識が含まれていること、目元の施術は美容行為にあたることなどの理由からも、美容師免許が必要となりました。

アイリスト専門の民間資格3選

サロンで働くアイリスト

美容師免許さえあれば、アイリストとして働けます。

他に必須とされる資格はありませんが、アイリストの施術内容に関連する民間資格を取得しておくと、より深い知識や技術を持っていることを証明でき、他のアイリストと差をつけられます。おすすめの民間資格を3つ紹介します。

1.日本アイリスト協会(JEA)|アイリスト技能検定試験

一般社団法人日本アイリスト協会が主催・認定する民間資格です。ベーシックライセンス(3級)、スタンダードライセンス(2級)、プロフェッショナルライセンス(1級)があります。

3級は筆記試験のみで、美容師免許を取得していなくても受験できますが、これからアイリストを目指す方が対象です。プロのアイリストとしての知識や技術を証明できるのは2級以上で、2級と1級は筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。

2.一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構(JECA)|アイデザイナー技能検定

日本まつ毛エクステンション認定機構は2007年に設立された、歴史のある協会です。

アイデザイナー技能検定は、この協会が主催・認定する民間資格であり、認知度も高いです。安全技術師、まつ毛エクステンション1~3級、認定講師の5つに分かれています。認定講師以外のどの級にも筆記試験と実技試験があり、合格者には認定証が授与されます。

3.NEA日本まつ毛エクステ協会|プロアイリスト検定

一般社団法人NEA日本まつげエクステ協会が主催・認定する、プロアイリスト検定は、まつ毛エクステンションの技術力を重視した検定試験です。

安全衛生はもちろんのこと、美しさ、数日・数週間経ってもばらつきの出ない繊細さを追求し、アイリストのレベル向上を図ります
3級、2級、1級、認定講師の4段階に分かれており、3級は学科試験のみ、2級は学科試験と実技試験、1級は実技試験のみです。3級と2級はオンラインで試験対策の講座を受講することもできます。合格すると、商標登録されている「プロアイリスト」を名乗れるようになります。

アイリストの就職先や業務形態

アイリストの主な就職先の1つは美容院との併設店舗

アイリストの中には経験を積んでフリーランスになる方やサロンのオーナーになる方もいます。アイリストの主な就職先、働き方を紹介します。

アイリストの主な職場

アイリストの働く場所は主に、アイラッシュ専門店か、美容院などに併設された店舗です。それぞれの特徴を解説します。

アイラッシュ専門店

アイラッシュ専門店とは、まつ毛エクステンション、まつ毛パーマ、アイブロウなどのサービスを提供する、目元ケア専門のサロンです。

就職先としては一般的で、アイリストとしての技術を極めたい方に向いています。スキルを磨きながらキャリアを着実に積み上げていける職場です。

アイラッシュ専門店には個人経営の店舗と法人経営の店舗があり、法人経営の中には、国内のみならず海外にも店舗を展開しているケースがあります。将来的にフリーランスや独立開業を目指したい方にもおすすめです。

美容院やネイルサロンなどの併設店舗

近年、美容に関するさまざまなサービスを受けられるトータルビューティサロンや併設型の店舗が増加しています。
アイリストは美容師免許が必須であるため、美容師と兼任で働くことも可能です。ネイルサロンの併設店舗でネイリストを兼ねる働き方もできます。

併設店舗での勤務は、アイリストだけにこだわらず、幅広いスキルを磨いて活躍したい方におすすめです。

アイリストの主な働き方

アイリストは、サロンに雇用される以外に、フリーランスで働いたり独立開業したりする選択肢があります。それぞれの働き方の特徴やメリット・デメリットを解説します。

サロンに正社員やパート・アルバイトとして雇用される

最も一般的なのは、サロンのスタッフとして雇用される働き方です。正社員としてフルタイムで働いたり、パートやアルバイトとして所定の時間働いたりできます。

正社員の場合は週休2日、実働8時間という働き方が大半で、早番・遅番のシフト制を導入している店舗もあります。パートやアルバイトの場合は短時間勤務が可能なサロンもあり、Wワークで働く人や主婦にも人気です。予約は土日に集中しやすいため、休日は平日になることが多いです。

面貸しを利用しフリーランスで働く

面貸しとは、フリーランスの美容師が、美容室の空席やシャンプー台などを借りて、自分で集客したお客様を施術することです。美容室に対しては場所代として料金を支払う必要がありますが、自分の売り上げはすべて自分の収入となります。

フリーランスのアイリストは、美容室やアイラッシュ専門店のオーナーと業務委託契約を結び、面貸しを利用して働いています。フリーランスで働くメリットは、勤務時間を自由に決められること、店舗を持たずに働けることです。

一方、デメリットは、お客様が少ないとその分収入が下がるため、安定した収入を得にくいことです。雇用される場合はお客様の人数に関わらず固定給をもらえますが、フリーランスで働くには、集客する力や固定客を作る努力が不可欠です。

独立開業する

アイリストは経験を積んだのち、独立開業することもできます。開業にあたっては、「美容所」として都道府県知事に開設届の提出が必要です。

独立開業のメリットは、自分の理想とする店舗やサービスを追求できること、売り上げが増えればその分収入に反映させられることです。経営者の立場になれるため、雇用されるよりも高収入を得やすいです。

デメリットは、店舗運営以外に物件の内装工事、役所への届け出、集客などを自分で行う必要があり、手間や費用がかかることです。経営が軌道に乗るまで時間がかかり、忍耐力も求められます。大変ではありますが、独立開業を目指して努力しているアイリストは少なくありません。

アイリストの年収はどれくらい?

アイリストの収入は、スキル、経験、勤務先の給与体系、働き方、地域などによって大きく異なりますが、求人情報によると、平均年収は369万円(※)となっています。お客様に指名してもらえればインセンティブ(歩合)がプラスされる場合もあります。
※引用:求人ボックス「アイリストの仕事の平均年収は369万円/平均時給は1,075円!給料ナビで詳しく紹介」(2024年3月15日時点)

しかし、技術や経験が問われる職業であるため、未経験の場合は月給20万円以下からのスタートとなるケースも少なくありません(※)。
※引用:ホットペッパービューティーワーク「東京都のアイデザイナー 求人・転職情報」(2024年3月25日時点のデータ。随時更新されているため、最新情報はこちらの平均データをご確認ください。)

経験年数とともに給料は上がり、キャリアアップしてチーフアイリストやマネージャーなどになればさらに昇給が見込めます。
ボーナスはスキルや業績によって支給額が変動することが多く、支給がないサロンもあるため、求人情報を確認しておきましょう。指名を増やし多く担当を受け持つこと、キャリアアップすることで収入アップが期待できます。

アイリストのやりがいや大変なこと

アイリストとして働くと、どのようなときにやりがいを感じられるのか、また、どのようなときに大変さを感じるのかを解説します。

アイリストのやりがいや魅力

やりがいは、女性の美容をサポートし、美容に携わり続けられることです。施術することによってお客様に喜ばれたり自信を持ってもらえたりすることはやりがいにつながります。施術を通して技術や最新の美容知識も身につけられるため、美容が好きな方にとっては刺激が得られます。

また、アイリストは1人のお客様をカウンセリングから施術まで担当できるため、指名が増えれば収入が安定するのも魅力です。指名してもらえるかどうかは自分の技術や接客にかかっているため、指名が増えると信頼を実感できるでしょう。

アイリストの大変なこと

大変なことは、薬剤を使用するためアレルギーなど身体に影響が出る可能性があることです。
アイリストの中にはグルーアレルギーに悩む方がいます。まつ毛エクステンションの施術で使用するグルーにより、「ホルムアルデヒド」という揮発成分が発生し、アレルギーを引き起こす方もいらっしゃいます。皮膚のかぶれや目のかゆみなど、症状が出た場合は無理をせず、専門医に相談しましょう。

また、緻密な作業を繰り返し行うこと、目元への施術であるため細心の注意を払う必要があることから、肉体的にも精神的にも楽な仕事ではありません。指名数や固定客を増やすためには、コミュニケーション力や地道な努力も必要です。

まとめ

アイリストは、アイラッシュ専門店やサロンの正社員、パート・アルバイト、フリーランス、独立開業と多様な働き方ができる仕事です。スキルを磨き実績を積み重ねることで収入のアップにもつながります。

コロナ禍でマスクを着用する機会が増えたこともあり、目元の印象は以前にも増して重要視されるようになりました。まつ毛エクステンション、まつ毛パーマ、アイブロウなどまつ毛や眉毛の美容をプロに任せる消費者は増えており、今後も需要は高まると考えられています。

アイリストに転職するなら、まずは美容師免許を取得しましょう。安全な施術はもちろん、高い技術力、接客、流行のデザインの提案など、他のサロンと差別化し、人気のアイリストを目指しましょう。

プロフィール画像

監修者AYU

トップアイデザイナー

EIL GROUP(福岡今泉サロン責任者)

美容師免許を修得したのちアイラッシュサロン2店舗を経て【かわいい・かっこいいをもっと身近に…】をモットーに、良心価格×高技術で店舗展開しているトータルビューティーサロン「EIL GROUP」(合同会社LIBEX)のアイデザイナー兼福岡今泉サロン責任者に。
デザイン力やモチに定評を頂いており、親近感のある丁寧なカウンセリングで、お目元のみならずお客様のトータルビューティーを叶える。

執筆者yumio